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リスク分析
リスク分析とは、入手できる情報を体系的に使用して、特定の事象が発生する頻度およびその影響の度合いを判断することです。

通常リスクは、事業による損失や災害による大量の保険金請求といったマイナスの出来事として定義されます。ただし、リスク分析を行うことによりプラスの結果が見つかることもあります。優れたリスク分析では、特定の状況から生まれる可能性のあるすべての結果を検討して、よくある過ちを特定すると同時に新しい機会を見つけ出すことができます。

リスク分析には定量的なアプローチと定性的なアプローチがあります。定性的なリスク分析では、特定の状況に対して「リスクが大きすぎるようだ」、「高利益が期待できるだろう」といった直感的な評価を下すのが通常です。これに対して定量的なアプローチでは、経験的データを用いたり定性的評価を数量化することにより、リスクを数値で表そうとします。ここでは定量的なリスク分析について説明します。

決定的リスク分析 –
「最善、最悪、最尤のケース」
定量的なリスク分析を行うには、いくつかの方法があります。最初の方法として、単一の予測を使用する、決定的な方法について見てみましょう。この方法ではアナリストがたとえば離散型の数個のシナリオに値を割り当てて、各シナリオでどのような結果が得られるかを評価します。金融モデルにたとえると、アナリストは最悪ケース、最善ケース、そして最も期待される (最尤) ケース、の 3 つの異なる結果を評価することになります。

最悪ケースのシナリオ – すべてのコストを最高値に設定し、売上げを可能な予測範囲の最低値に設定します。このシナリオの結果では損失が出ます。

最善ケースのシナリオ – すべてのコストを可能な最低値に設定し、売上げを可能な予測範囲の最高値に設定します。このシナリオの結果では大きな利益が得られます。

最尤ケースのシナリオ – コストと売上げの両方を可能な範囲の中央値に設定します。このシナリオの結果ではある程度の利益が得られます。

このアプローチには、次のような問題があります。

  • いくつかの結果を個別に評価するだけで、ほかにも考えられる多数のシナリオがまったく考慮されません。
  • 各結果に均等の重みが与えられます。つまり、各結果が起こる確率が一切評価されません。
  • 入力間の相互依存、結果と比べた場合の各入力の影響力、およびその他の微妙な要因が無視されるため、モデルが過度に簡素化されて精度が低くなります。

上記のような不具合や精度の問題にも関わらず、多くの企業や組織ではこのタイプのリスク分析を用いているのが現状です。

確率的なリスク分析 –
モンテカルロ シミュレーション

定量リスク分析を実行するためのより優れた方法として、モンテカルロ シミュレーションという手法があります。モンテカルロ シミュレーションではモデル内の不確実な入力が、確率分布と呼ばれる可能値の範囲で表されます。確率分布を利用すると、可変要素にさまざまな出力結果の異なる確率を割り当てられるようになります。確率分布では、リスク分析の要素に含まれる不確実性をより現実的な方法で表すことが可能です。代表的な確率分布には次のようなものがあります。

正規分布 – 「ベル曲線」とも呼ばれます。ユーザーは期待される平均値および、その値の変化の度合いを表す標準偏差を定義します。平均に近い中央部分の値の発生確率が最も高くなります。この分布は左右対称で、たとえばヒトの身長など、多くの自然現象を表します。正規分布で表される可変要素の例としては、インフレ率や燃料費などが挙げられます。

対数正規分布 – 値が正の歪みを持ち、正規分布のように左右対称ではありません。常にゼロ以上で正の方向に無限の可能性を持つ値を表すのに使用されます。対数正規分布で表される可変要素の例としては、不動産価値、株価、石油埋蔵量などが挙げられます。

一様分布 – すべての値が同じ確率で発生します。ユーザーは最小値と最大値のみを定義します。一様分布で表される可変要素の例としては、新製品の生産コストや売上げ見込みなどが挙げられます。

三角分布 – ユーザーが最小値、最尤値、および最大値を定義します。最尤値の近くにある値の発生確率が最も高くなります。三角分布で表される可変要素の例としては、時間単位当たりの過去の売上げや在庫レベルなどが挙げられます。

PERT 分布 – 三角分布と同様に、ユーザーが最小値、最尤値、および最大値を定義します。最尤値の近くにある値の発生確率が最も高くなります。ただし、最尤値と極値の間の値は、三角分布の場合よりも発生確率が高くなります。これは、三角分布ほど極値が重視されないことを意味します。PERT 分布で表される例としては、プロジェクト管理モデルにおける特定タスクの所要期間などが挙げられます。

離散分布 – ユーザーが起こり得る特定の値を定義し、これら各値の発生確率を指定します。例としては訴訟の結果などが挙げられ、たとえば勝訴 20%、敗訴 30%、和解 40%、無効審理 10% という確率が考えられます。

モンテカルロ シミュレーションの実行中は、入力の確率分布から無作為に値がサンプリングされます。サンプルの各セットのことを 1 反復と呼び、そのサンプルから得られる結果の出力が記録されます。モンテカルロ シミュレーションではこの処理が何千回と繰り返され、最終的にこれら可能な結果の確率分布が求められます。したがって、モンテカルロ シミュレーションでは、将来起こり得る結果についてより包括的な評価を行うことができます。この方法では、起こり得る事象だけでなく、それぞれの発生確率も把握できます。

モンテカルロ シミュレーションには、決定的な分析手法に比べて次のような優れた利点があります。

  • 統計的な結果。分析結果には、起こり得る事象に加え、それぞれが発生する確率も提示されます。
  • 結果のグラフ表示。モンテカルロ シミュレーションで生成されるデータを基に、さまざまな結果とその発生確率のグラフを簡単に作成できます。これは分析結果を関連者に伝達する際に重要となります。
  • 感度分析。決定的な分析手法では、数の限られたケースについて考慮するため、どの可変要素が結果に最も大きな影響を与えるかを判断するのは困難です。モンテカルロ シミュレーションを使用すると、どの入力が最終結果に最大の影響を与えているかを簡単に識別できます。
  • シナリオ分析。決定的なモデルでは、各入力の値のさまざまな組み合わせをモデル化して真に相違のあるシナリオの影響を評価することが非常に困難です。これに対してモンテカルロ シミュレーションを使用する場合、特定の結果が生じたときに、どの入力でどの値の組み合わせが使われていたかを正確に知ることができます。この情報は、より詳細な分析を行うためには不可欠です。
  • 入力の相関。モンテカルロ シミュレーションでは、入力変数同士の相互依存関係をモデル化できます。現実世界においてある要因の値が大きくなるにつれてほかの要因がどう変動するかをモデルに反映させることは、正確性を確保する上で重要です。

スプレッドシートとプロジェクト スケジュールにおける モンテカルロ シミュレーション
定量的リスク分析を実行する方法としてはスプレッドシート モデルが最もよく使われます。現在でも多くの人がスプレッドシート モデルで決定的リスク分析を用いていますが、Excel で @RISK を利用すればモンテカルロ シミュレーションを簡単に実行できます。@RISK (英語スペイン語ポルトガル語フランス語ドイツ語および日本語版があります) は、Excel に確率分布の定義と出力結果の分析を行うための新しい機能を追加します。 また、プロジェクトのスケジュールと予算のリスクを評価するために、Microsoft Project 英語版用の @RISK(英語版のみ) も販売されています

@RISK の仕組み (ビデオ)
» @RISK について
» @RISK for Project について
» モンテカルロ シミュレーションについて


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